債務処理環境の変化・・・


ご相談いただく業種や内容は、その時代や環境と共に変化するようです。

以前は、多くのご相談者が、資金繰りのためのリスケ方法について、具体的なアドバイスを求められました。

しかし、返済猶予に関するご相談を受けることが、最近は本当に少なくなってしまいました。

リスケなど、経営危機打開の前提作業であり、もっと深化したアドバイスをご相談者が求められる時代になったようです。

 

やはり、転機は、リーマンショックだったのでしょうか。

この未曾有の世界的不況か、といわれたリーマンショックは、債権債務処理についての経営者の知識レベルを、一気に引き揚げることになりました。

中小企業金融円滑化法の施行により、返済猶予(リスケジュール)など、経済行為として当たり前の作業であるという認識を経営者は持つことができました。

さらに、経営危機対策や会社再生に関わる債権債務処理について、専門書や情報が氾濫するようになり、中小零細事業者もそれなりの知識を持つことが容易になったでしょう。

また、真摯に情報を求められる事業者の中には、複数の専門家を廻られて自分なりの見解を持とうとされる方もおられます。

その様なことで、最近のご相談者の中には、債権債務処理について高いスキルを持たれた方も珍しくなくなったのです。

ある程度の知識を持たれたご相談者は、総論ではなく各論の情報を求められます。

しかも、各論の中でも、より深化した専門的な知識を求められることが増えてきたようです。

経営改善方法や資金繰り確保,第二会社・資産の保全方法,信用保証協会との対応方法,サービサーの撃退方法などといった、多くのご相談者が求められ内容よりも、さらに深く切り込んだアドバイスを求められます。

任意の事業譲渡を有効にする方法や、代位弁済後の信用保証協会との和解方法,債務の消滅時効を可能にする方法などといった、極めて専門性の高い内容になりますから大変です。

専門家である我々も、生半可な知識で対応出来るはずもなく、日々、しっかりと勉強をしなければなりません。

 

時代の変化を感じると共に、経済の動きや業界の動向などについても、ご相談者の傾向により把握をする事か出来ます。

ご相談者は、どんな業種の方が多いのか、どの様な理由で経営が厳しくなったのかなどを知ることで、経済・経営の記事やニュースよりも早くて正確な情報として持つことができるのです。

ある特定の業種のご相談が増加することで経営環境を推測できるのですが、代表的なところでは、姉歯耐震偽装事件により、中小規模の建設業は極端に受注が厳しくなり、業績を落とし資金繰りも悪化してご相談が増加したことがあります。

また、コンビニエンスストアの弁当事業の充実により、お弁当専門店さんのご相談が増加した時期もありました。

他にも、ガソリンスタンドのご相談が一気に増えたことがありますが、これは2010年の消防法改正により、40年以上前に設置された地下タンクの改修が義務化され、資金繰りを圧迫したことが理由でした。

この様に、ご相談者のお仕事は時勢を反映したものになるのですが、最近も、その傾向は存在します。

目に付くのは、携帯電話ショップで、ここ2年ほど確実にご相談件数は増えてきています。

消費者の多様化と供給サイドの過剰が原因の様ですが、特にソフトバンク関連が多い様です。

また、製造業の下請業者のご相談件数は、安定的に高水準を維持しています。

以前は、自動車関連の下請けさんが多かったのですが、最近は業界を問わずに製造業全般で増えてきているようです。

円高で、恩恵に与っている業界のはずでしたが、元請けであるメーカーの厳しい発注単価査定により、2次下請け以降は慢性的に利益が確保できない状況に追い込まれていたようです。

他にも、何度か本ブログでもご紹介したように、カジュアルを中心とした衣料業界は厳しい状況が今でも続いています。

特に、企画デザインした商品を東南アジアで製造し、それを輸入して卸すというビジネスモデルは、既に崩壊したといえるのではないでしょうか。

これは、製造原価の高騰と、消費意欲の減退と、少し以前の円安が原因だったようですが、改善する兆候は見当たりません。

他にも、傾向を感じさせる業種業界はありますが、直近の傾向としては、全般的に景気の低迷を感じる場面が増えてきた様に感じます。

しかも、今まで何とか頑張ってきたのに、ここにきて遂に耐えられなくなったという企業が目に付くようになったのですが、このパターンのご相談が増えるというのは、私の経験から、総体的に景気が悪化しているというシグナルなのです。

 

2016年度の法人税が、前年比割れとなり減収に転じたということです。

これも、景気が転換し、悪化し始めたという明らかなシグナルになるのでしょう。

アベノミクスが、現実として成功か失敗かは別にして、法人税が減収する程に企業業績が低迷し始めたというのは現実です。

安倍政権以降、アベノミクスの3本の矢により、最大限の金融・財政支援を続けてこの状況であり、これから景気悪化を食い止めなければならない状況なのに、もはやこれ以上の有事対応余力は残っていないのではないでしょうか。

こんな状況においても、政府は、中小零細事業者の資金繰りにとっての命綱である信用保証協会について、その保証基準を締めつける方向を打ち出したことも視野に入れおく必要があります。

もはや、政策的に、中小事業者の資金繰りを支援するという環境は終わりを告げているのかもしれません。

これから、経営者にとっては、ちょっと厳しい時代になるのでしょうか・・・。

 

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