多くの経営者は、会社が経営破綻をしそうなとき、自らのことをあまり考えなくなります。
従業員や仕入先等の社会的弱者を守ることができれば、自分はどうなってもいい・・・と、経営者は考えられるようになるのです。
先の見えない状況において、襟を正した考え方をされるのですが、唯一、経営者が何とか守りたいと考える個人資産も存在します。
唯一の、心の安らぐ場で、大事な家族とのご自宅です。
経営する会社が、倒産するかもしれないという環境において、自宅を守ろうとする考え方は間違っていないと思います。
自宅は、経営者が落ち着ける唯一の場所ですし、今後の人生を考えれば確保したいと思って当然です。
そんな、思い入れのある自宅を、何とか維持すべきなのかもしれませんが、どんな状況においても優先的に保全を図るという考え方は、実は非常に危険な考えでもあると思います。
通常、会社の金融債権が金融事故になれば、その連帯保証人で代表者の自宅も、債権回収の対象とされる可能性があります。
特に、会社の金融債権者と、代表者の自宅についての住宅ローンの金融機関が同じであれば、会社の金融債権が期限の利益の喪失をすると同時に、住宅ローンも期限の利益の喪失をするというのが、保証債務の関係から一般的です。
住宅ローンが期限の利益の喪失をすると、何らかの対策を講じないと、間違いなく自宅を失うことになってしまうでしょう。
そこで、債務者として、次の様な自宅の保全手段を実施することになります。
早い段階であれば、無剰余対策であったり、慰謝料や配偶者控除の特例を使っての所有権変更対策。
商取引債権を活用しての、代物弁済なども有効かもしれませんし。
時期がずれて、期限の利益の喪失と絡んでくると、買い戻しやセール&パック,さらには競売への応札など・・・。
この他にも、自宅の保全対策は様々に存在し、状況に合わせて活用することにより、自宅に住み続けられるという可能性は低くはありません。
ただ、自宅を維持することが出来たり、住み続けることができたりして、それで結果オーライというものでもないと思います。
生活についての、環境の変化を十分に考慮して、自宅について検討する必要があるのではないでしょうか。
今までは、会社の経営者として、優雅な生活をおくれたかもしれませんが、会社の経営が破綻して環境は大きく変化をしています。
生活を考えれば、無駄な支出など出来ないという環境になっており、以前とは生活レベルが全く違ってしまっていることを忘れてはいけません。
何らかの手段で、住宅ローンを継続できたとしても、会社からの収入を失った状況で、膨大な住宅ローンが払えるのでしょうか。
もしも、オーバーローン状況であるなら、住宅ローンを維持することさえ無意味だと思えます。
毎月30万円程の賃料を払う契約をして、セール&リースバックで自宅を維持することに成功しても、そんな高額の賃料を払う意味があるのでしょうか。
他を探せば、家族が楽しく生活できる借家が、はるかに安く借りられるのではありませんか?
ましてや、数年後に買い戻しの特約でも結んでいれば、自宅を守れたとしても、結果として大きな損失をすることになってしまいます。
こんな時は、環境の変化に合わせた考え方が必要ではなるのでしょう。
無理をせずに返済や支払が可能であるとか、維持することにより大きな利潤を生む可能性があるというのなら、自宅を守る価値があるのかもしれません。
しかし、オーバーローンの家を、住宅ローン継続で守っても仕方がないのです。
豪華な自宅を、無理して守っても仕方がありません。
自宅は、家族と生活の基点ですから、何とか維持はしたいと考えますが、環境の変化に合わせ、身の丈に合った生活に転換することも大事なのではないでしょうか。
以前、住宅金融支援機構からの借入が期限の利益の喪失をしてから、任意売却と競売の活用により、3年強の間、自宅に住み続けられたご相談者がおられました。
この間、返済は1円もしておらず、当然に賃料も払っておられません。
もしも、ご近所に同じ様なレベルの貸家を借りられたら、月に12万円程賃料が必要でした。
そうすると、3年強の間で、結果として400万円以上も出費を抑えたことになります。
自宅は、守らないという判断で、出来るだけ長期間住み続けるという目的を設定されたのですが、このご相談者は、環境の変化についてしっかりと理解をされていたのです。
経営する事業の破綻というのは、こんな考え方や対応が必要になる環境なのではないでしょうか。
自宅をどうするかについては、環境の変化を理解し、しっかりと対応をしていただきたいと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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