一番大事なのは資金繰り・・・


建設業の経営者は、この様に言われました。

『当社は、実行予算書を活用して、受注工事毎の粗利益は十分に確保していたのです。』

粗利益の確保を最優先にして、会社を挙げて、しっかりとした工事管理を実施をされていたのですが、そんな会社が資金破綻を起こしました。

理由は簡単、しっかりとした資金繰りをしていなかったからです。

 

建設業のご相談の場合、経営危機に陥った理由として、粗利益が確保できていない事例が多いようです。

多くが、昔ながらのどんぶり勘定で工事を進め、終わってみないと利益がどの程度あったか判らないというパターンになります。

こんな場合、実行予算書の活用が効果的です。

実行予算書は、受注した案件について、事前に資料として予算を組む手続きになります。

受注金額から、まず必要粗利益を確保し、残った金額で仕入れや外注の発注金額を決めていく流れになり、予算通りに実行できれば粗利益が事前に把握できて確保も出来るということです。

予算通りに実行すれば問題は無いのですが、現場担当者としてはもう一段の努力をしていただき、さらに、原価としての予算を圧縮して粗利益を積み増すことができれば理想的です。

財務的には極めて効果的ですから、工事管理面で許される範囲内で実行することにより、会社への貢献度が具体的に把握できることになるでしょう。

この実行予算書作成の取組みは、売上粗利益の低い建設業にとっては極めて効果的であり、活用の幅も広いという事なのです。

しっかりと活用することができれば、劇的に財務内容が改善することも珍しくありませんし、建設関係だけでなく、すこし手を加えるだけで印刷業や製造業などにも活用できますので、この極めて優れた経営改善アイテムに前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 

さて、最初にご紹介した経営者は、実行予算書は十分に活用されていました。

工事毎に、経費の支払いも出来るだけの十分な粗利益も確保できていたのですから、それで資金破綻を起こすというのは、ちょっと理解しにくいかもしれません。

黒字ですから、世に言う黒字破産だと思われるかもしれませんが、ちょっと内容が違います。

黒字破産は、本業が黒字でも、有利子負債等の負担により資金が破綻することですが、今回は問題が違うところにありました。

資金の流れが滞っての決壊だったのです。

建設業は、小売業とは違って、販売イコール集金ではなく、原価発生よりも売掛金回収のタイミングがズレて当然の業種で、長期に亘る工期において、仕入れや販売,集金,支払という流れが拡散して発生します。

したがって、この流れを整理しなければ、資金の動きが掴めず、突然に資金破綻という事になりかねないのです。

そして、その整理を出来るのが資金繰り表になるのです。

経営危機の環境において、貸借対照表や損益計算書を振り回す専門家もおられますが、一番大事な資料は資金繰り表だと思います。

資金繰りが厳しいから経営危機なのであって、この段階において利益がどの程度あるのかは意味がなく、どれだけの現預金が残っており、どのように現預金が推移していくかが大事なのでしょう。

極端な表現をすれば、たとえ赤字であっても、資金繰りさえ確保できておれば事業の維持は問題ないということなのです。

したがって、現預金の動きをしっかりと把握することが、経営危機を打開する最重要ポイントになるのですが、建設業においては、経営危機でなくても外すことの出来ない重要なポイントだということなのです。

 

建設業の経営者として、工事毎に実行予算書を活用して粗利益を確保するのは大事ですが、それは全体の資金の流れを確認するための情報としてだと考えてみてください。

もっと大事なのは、その情報を活用して、全体の資金繰りを確認するという事なのです。

建設業の経営者として、常に、全体の資金繰りを把握して、いつでも効果的な対応を出来るようにしておけば、突然の破綻などありえないと思います。

 

 

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