信用保証協会の債権放棄・・・


 

現実がこれでは、魅力的な政策も効果を発揮できず、世論向けの建前だけの政策ということになってしまいます。

政府は、画期的な政策として、政府系の金融機関の債権放棄の可能性を示唆しています。

ところが、可能性を示唆された政府系の金融機関は、債権放棄を検討するどころが、頭から頑なに拒否するだけなのです。

この矛盾する対応、いったいどちらが、政府の本音なのでしょうか。

 

最近、政府は中小企業再生に前向きな姿勢を示し、様々な再生支援政策を実施しています。

少し古くなりますが、中小企業金融円滑化法や産業活力活性法に始まり、最近では経営者保証に関するガイドラインや特定調停スキームなどが運用されるようになりました。

安倍首相の再チャレンジの方針に則って、民間の金融機関に対して、債権放棄さえも金融庁が暗に推奨するような状況になっています。

債権者金融機関の直接的な債権放棄など、一昔前なら考えられませんでしたが、それだけ政府も真剣に中小企業の経営環境の確保に留意し、再生に向けての環境も整備されてきたという事なのでしょう。

ところが、政策的にはこれほど整備されてきたのに、その政策を受けて具体的な対応取るべき現場においては、前向きな対応などなされず、ほとんど変化や改善は見られないのが現実なのです。

 

もともと、日本政策金融公庫や信用保証協会などの政府系の金融関係機関は、債権放棄や債権譲渡などしませんでした。

日本政策金融公庫などの資金は国民の税金ですから、基本姿勢として、いつまでも回収を続けるという姿勢を維持するのは当然なのかもしれません。

しかし、経済的合理性があれば、例外的に債権放棄を容認しようというのが、最近の政府の政策なのです。

このままだったら、債務者は破産をして1円も回収できないが、債権の一部を放棄すれば会社は再生することができて、残債も回収できるというのであれば、債権放棄をした方が債権者として得であり経済的合理性があるという事になります。

政策でも示唆しているように、経済的合理性が確保出来るのであれば、少しでも国民の血税を回収するために債権放棄を容認しようというのです。

ところが、現場は、経済的合理性などには無頓着であり、債権放棄には否定的な姿勢を崩しません。

事業の維持を目指し、民事再生法の適用を申請したが、債権者である日本政策金融公庫や信用保証協会に反対されて失敗に終わった事例は枚挙にいとまがありません。

結果、破産ということになり、全ての関係者の経済的合理性の判断が消失しても、彼らには何の責任もないのです。

中小企業再生支援協議会の2次対応において策定された経営改善計画に、日本政策金融公庫や信用保証協会の債権放棄の必要性が載せられておれば、債権放棄も可能であるとなっています。

この内容を信じ、税理士等の専門家も顧問先に取組みを勧めたりされるのですが、現実的には前向きに進むものではなく、無駄に時間を消費させるだけのことでしょう。

経営改善計画に、債権放棄の必要性が盛り込まれていようとも、彼らには何の関係もないことなのです。

特定調停スキームにも、信用保証協会等における債権放棄の可能性が載せられており、専門家も前向きに取り組もうとしました。

しかし、事前の調停において、頑なに債権放棄については拒否する姿勢を貫き、長期分割での弁済を要求して譲ろうとはしません。

彼らは、債権放棄をする必要性など感じないのです。

 

長年、様々な信用保証協会などの対応姿勢を見てきて、彼らには、血税を預かっているという責任感と、経済的合理性を優先しようという考えが欠落していると断言できます。

中小企業が再生しようが破産しようが判断基準とはならず、債権を少しでも多く回収するよりも、負担を少しでも減少させて責任が掛からないように回避するというのが判断基準ではないかとさえ思えてしまいます。

税金から給与を貰う役人であり、その気質が、血税の回収という面で、国民に大損をさせても平気なのでしょう。

 

一見、効果的に思える、世論受けの良い政策が様々に運用されています。

しかし、いくら政策が良くても、効率的に活用して機能させなければ、それは建前だけの政策になってしまいます。

現実的に、中小企業の再生現場においては、政策を受けて処理すべき組織や機関が、その政策を否定して取組もうとしていません。

その結果、政策として機能しないどころか、中小零細企業の再生の現場を混乱させ、無駄に手間暇を消費させてしまうことになっています。

本来、中小企業の味方であるべき日本政策金融公庫や信用保証協会は、何が大事で何を目的とするべきか、しっかりと認識し直すべきだと思います。

現状では、債権放棄は、まだまだ夢のまた夢でしかありません。

 

 

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