何故、破産を勧めたか・・・②


破産という言葉を聞いて、明るい響きなど感じることはないでしょう。

世の中では、当然の如く、破産は凄まじく悲惨な結果として捉えられています。

しかし、観点を変えれば、破産は、苦しみ抜いた厳しい経営から解放されるオアシスだともいえるのです。

置かれている立場により、地獄にも天国にも感じるのが破産なのかもしれません。

塗炭の苦しみを経験したような経営者にとって、破産は大きな意味を持ちます。

あれほど頑張って守ろうとした事業を、破産により諦めることになってしまうのです。

同時に、長年、骨身を削って苦労した、資金繰りや経営危機の打開の苦しみ解放されることにもなります。

今後は、法律に身を任せ、ある意味、経営者としては精神的に一気に楽になれるのかもしれません。

そうであるならば、なぜ、今までは破産を恐れ、何とか回避すべく頑張ろうとしてきたのでしょうか。

経営者として、もっと早く、破産を決断すれば良かったのです。

そうすれば、早く楽になれたのに・・・・そう思って当然なはずです。

そう出来ないのは、経営者だからでしょう。

 

経営者としての責任があるから、簡単に破産など選択できないのです

破産をすれば、たしかに経営者個人としては楽になれるのかもしれませんが、経営者の責任としては如何でしょうか。

取引先や従業員、そして家族、さらには他の連帯保証人さんなど、破産をすることで大きな影響を受ける関係者は沢山おられます。

そんな関係者の事を考えれば、何故に破産を避けるのかというよりも、破産をする前にしなければならないことがあるから、簡単に破産出来ないということになるのでしょう。

経営者の責任として、社会的弱者である関係者を守るのは当然のことです。

従業員の今後の生活や仕入先等の資金繰りなどを考えれば、簡単に破産など出来るはずがないということなのです。

関係者の事だけではなく、破産を選択肢として考える前に、検討すべきことは沢山あります。

事業の維持についての可否や今後の生活、さらには整理をするための準備などを考慮し、様々に存在する破産以外の選択肢について、今後の展開を考えて検討しなければなりません。

そして、今までは、より優先すべき、他の選択可能な方法が存在しましたので、破産を勧めることはありませんでした。

しかし、今回は、破産以外の選択は、どうやら難しいようです。

頑張りすぎたのでしょう。

ご相談者の今後の人生を考えれば、破産を勧めるしかありませんでした。

 

7年前に初めてご相談に来られたのですが、その時は、資金繰り確保のための返済猶予への取組みや第2会社の活用などについてアドバイスをさせていただきました。

それから半年後、返済猶予の更新などについて2度目のご相談に来られ、事業は順調に改善をしている方向だったのです。

その後はご連絡が無く、約6年半が経過してご相談に来られたのですが、悲惨な状況になっていました。

資金繰りは、来週の支払さえ不足し。今後の目途など全く立たない状況です。

金融機関は利息だけの支払で対応してくれていますが、新たな借入が不可能なのは当然であり、資金繰り確保のために、個人からの借入に頼ってしまっています。

知人の紹介で、会社経営者などの個人からの借入が10件弱で3000万円ほどになり、他にカードローンも数社あり、全て合すと6000万円以上の借入です。

現在の売上が3000万円ほどですから、倍の借入があるということになり、現在の収益性を考えれば、天変地異でもない限り返済は不可能という状況でしょう。

この状況でも、金融機関からの借り入りだけなら、破産もせずに第2会社の活用なども考えられるのですが、個人からの借入が甘い対応を許してくれません。

既に、返済が遅れている状況に、個人貸主が厳しい対応をしてきているのです。

支払の督促だけではなく、売掛金の差押を示唆されたり、夫人や子供さんを連帯保証人にすることさえ要求をされています。

事業は、黒字を確保するのが難しい状態で、資金繰りは完全に破綻している状況で、この個人貸主への対応は不可能でしょう。

これでは、資金的にも、精神的にも、時間的にも、任意での対応は不可能だといえます。

もはや、選択肢は破産をしか残っていない状況だといえるのです。

 

色々と、他の方法も検討しましたが、ご相談者の事を考えるならば、破産が最善の選択肢だという判断でお勧めした次第です。

ご相談者に破産をさせないという営業方針をもち、この事業を始めてから14年間、私から破産をお勧めしたことは一度もありませんでしたが、今回は仕方がありません。

ご相談者は、事業を継続することだけを考え、何とかなるだろうと頑張り過ぎたのです。

そして、途中、一度でも、私から状況確認のご連絡をするべきだったと悔やんでおります。

 

 

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