債権者は、嘘をつく・・・


『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』とは、よく言ったものです。

まるで、経営危機を打開するためにある様な言葉です。

資金繰りが厳しい時や、経営改善に取組む時には、常に、この言葉を頭において対応するべきでしょう。

金融機関などの債権者が発する言葉や行為には、必ず理由や根拠があり、その理由や根拠を理解せずして、債権回収のプロと対峙することなど不可能だからです。

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』とは、敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないという意味になります。

『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』と言った方が、現代では通りが良いと思いますが、意味は全く同じで、孫子の兵法で語られ、戦場では当然のこと、現代のビジネスの現場でも活用されています。

相手のある処理・対応をしなければならない時に大きな意味を持つ内容で、中小零細企業のビジネスの現場でも、債権者と債務者の交渉においては重要なキーワードとなります。

特に、経営危機の場面における債権者と債務者の交渉は、命を掛けた究極の場面ともいえますから、必要不可欠だといえのです。

債務者である中小零細企業の経営者にとって、債権者である金融機関の思考方法や理屈・根拠を考え方が判らなければ、具体的な対応などとれるはずもありません。

債権者の発する言葉に踊らされ、一喜一憂して本質を見失わないためにも、その真意を知らなければならないのです。

 

新たな融資をお願いする時、金融機関の与信のポイントを外すわけにはいきません。

資金不足で、融資がなければ経営破綻するような状況でも、そんな理由を直接に提示してはマイナスにしかなりませんから、現実はどうあれ、前向きな根拠による融資依頼であることを示し、資金が厳しいことは匂わす程度の表現に抑えなければ、債権回収が難しいという判断がなされ、融資は難しくなってしまいます。

我々の想像する以上に、金融機関は経営実態を把握しているものですから、融資をお願いする時に、わざわざ経営状況が厳しいと主張する必要などありません。

 

実際に、資金繰りが悪化して、返済猶予をお願いする時においては、金融機関の考え方を絶対に知っておく必要があります。

返済猶予を申し込むというのは、具体的に資金繰りが厳しく経営状況が悪化していることを、債権者に正式に報告するという意味合いがあります。

したがって、債権者である金融機関が考えることは、今後の債権回収の可否についてということに絞られてくるのです。

返済猶予をすれば、経営改善により健全化し、債権回収は問題ないと判断すれば、返済猶予への取組みは難しくないでしょう。

しかし、返済猶予をしても、資金繰りは改善せず、経営状況も悪化するだろうと判断すれば、債権回収を優先して具体化させるしかなくなります。

これでは、資金繰りを確保するために返済猶予を申し込んだのに、逆の方向に進んでしまうことになりますから、経営者として、しっかりと債権者である金融機関が求める根拠に対応しなければなりません。

返済猶予により、資金繰りは安定し、その間に経営改善は進み、受注も上向いて経営が安定するということを、誠意を持って具体的に説明するということが求められるのです。

 

金融機関は、様々な脅し文句を使うことがあります。

『このまま返済が止まると、大変なことになりますよ・・・』とか、『法的手続きに着手しますよ・・・』などの脅し文句です。

普通の経営者であれば、金融機関のこの様な表現に縮み上がってしまうのではないでしょうか。

しかし、表現した金融機関の真意は、そんな難しくないと捉えるべきだと思います。

『このまま返済が止まると、大変なことになりますよ・・・』と言いますが、何が大変なになるのでしょうか。

既に、返済もできずに大変な状況になっており、今後の展開もある程度は予測できる中で、これ以上に大変なことにはなり様がないでしょう。

これから大変なことになるのは、金融機関自身なのですが、そんなこと素知らぬ顔で、脅しの効力を活用しようとしているだけなのです。

 

債権者である金融機関などは、期限の利益の喪失をする前後になると、『法的手続きに着手しますよ・・・』などの脅し文句も多用してきます。

この表現に恐怖を感じ、金融機関が言う通りの対応をしてしまう経営者も少なくないでしょうが、それが金融機関の目的なのです。

金融機関の考え方は、法的手続きをする事が目的ではなく、この表現により脅迫し屈服させることが目的なのです。

本当に法的手続きに着手しようとするならば、黙って突然に仕掛けてくるものですし、交渉が続いている状況においてはなかなか実行するものではありません。

競売をチラつかせるときも、同じ様な意味合いがあります。

債権者金融機関にとって、担保や差押をしている不動産は貴重な債権回収手段です。

出来るだけ多くの債権回収を図りたいものですから、競売ではなく任意売却で処理したいのが本音でしょう。

しかし、条件交渉が上手く進まない時などに、競売への着手を匂わせたり主張したりすることも珍しくありませんが、これは逆の意味を持っていると捉えるべきなのです。

『競売なら回収出来る金額減るので、避けたい・・・・』

だから、交渉に妥協してくださいや、任意売却を上手く進めてくださいという意味で、競売を主張するのです。

本当に競売をする気であれば、信用保証協会の様に、難しい交渉などせずに競売の手続きを進めてきます。

 

債務者である中小零細企業の経営者にとって、債権者の真意を知ることの必要性はご理解いただけたと思います。

債権者である金融機関は、頭の良い連中ばかりですから、その思考方法や理屈・根拠をしっかりと理解しなければ、対応することなど難しいのです。

表現を真に受けて、取れ返しのつかない失敗だけは、しない様にしてください。

 

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