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期限の利益の喪失がポイント


◇ 期限の利益の喪失とは

期限の利益の喪失とは、あまり聞きなれない言葉ですが、経営危機で会社再生を目指す場面では、極めて重要なキーワードになります。 金融機関からの借入やローンで物品等を購入した場合に、時間を掛けて分割で返済できる権利を契約により与えられますが、これを期限の利益といいます。 しかし、この契約を破り約束通りに返済できなくなったり、確実に返済できないと金融機関等が判断した場合に、直ぐに一括で弁済するように変更されることを、期限の利益の喪失といいます。 期限の利益が喪失すると、債権者から通知が届き、正式に不良債権として次の手続きに移ることになります。

◇ 期限の利益の喪失と不良債権

約束通りに返済できなくなっても、すぐに期限の利益の喪失をするわけではありません。 通常の借入の場合は利息の支払が3回滞った場合,住宅ローンは利息の支払が6回滞った場合に、期限の利益が喪失するのが一般的であり、元金ではなく利息の支払が対象になることに注意してください。 また、信金信組などは、利息の支払が滞っても、なかなか期限の利益を喪失させない事例もあります。 返済猶予は返済条件の変更契約ですから、返済猶予を申し込んだことを理由に期限の利益の喪失をすることはありません。

◇ 期限の利益の喪失後の動き

期限の利益の喪失は、正式に不良債権として法的手続きによる債権回収に移行するという宣言でもあります。 したがって、期限の利益の喪失後は、今まで、頻繁に督促されていたのが嘘のように静かになる反面、債権を回収しようという債権者の様々な行為を体験することになります。 期限の利益の喪失後の代表的な動きとしては、保証付き融資についての代位弁済、担保権の実行による処分、さらには裁判や仮差押えなどの強制執行、またサービサーへの債権譲渡等があり、それらの手続きはほぼ予測できて対応が可能なものになります。

◇ 期限の利益の喪失に備える

期限の利益が喪失しても、何も諦める必要は無く、逆にチャンスだと捉える必要があります。 期限の利益の喪失は経営危機での大きなターニングポイントで、当然に期限の利益が喪失しない方が良いのは間違いありませんが、期限の利益が喪失しても会社再生を諦める必要などはありません。 債権回収の動きを自然に予測して備えると共に、債権者からの請求や追及に対しては、誠意ある前向きな姿勢で対応することで業務の継続は可能なのです。 大事なのは、諦めない気持ちと知識です。